皮膚科で処方される薬

 これからしばらく忙しい日が続くので、落ち着いてから、ゆっくりいろいろ書こうと思っていたのですが、万由子先生の記事に触発されて、思ったことを少し。

皮膚科医をあえて問う(ステロイド編)

 一度だけですが、ステロイドをとてもうまく使う先生に出会ったことがあります。
すごく昔の話になりますが。
まだ学生の頃、毛糸のマフラーの刺激がもとで首に湿疹ができたときのことです。

 首の後ろ側、500円玉ぐらいの範囲に湿疹ができていました。

 子どものときに肘の内側や、膝の裏などに治りにくい湿疹が出たことはなかったか、ぜんそくなど出たことは、と問われました。このときは自分でも意識していませんでしたが、先生はアトピー体質であることを疑って問診したんだと思います。もちろん細菌感染やダニなどの感染ではないか、診断のために皮膚の切片も調べられました。

 そのときは、どんな薬を処方されるか、あまり関心がなかったこともあって、よく覚えていないのですが、処方されたのは、たぶんステロイドだったのではないかと思います。それから内服としてビタミン剤。これはビタミン剤だと、はっきり説明されたので、いまでも覚えています。
 塗り薬のほうは、チューブなどではなく、院内で小さい容器に小分けされたもので、ほんとにちょっぴり。「髪のなかまで湿疹ができてなくてよかったね。そうなると、とても治療しにくいから。これは、とてもよく効く薬です。首の湿疹部にしか塗ってはいけません。3日後に、また診察を受けてください。」と言われました。

 真面目にビタミン剤を飲み、薬を塗り、3日後の診察のときには、もう良くなっていて、「もう塗らなくていいから。」ということで、あっという間に治りました。

 思えば、2~3日で塗りきってしまうぐらいの、ほんの少しだけの薬といい、3日後の診察といい、薬の切れ味と常習性、首から上の部位の易吸収性などについて、よくご存じだったのだと思います。


 ステロイドは、ものすごく切れ味のいい、よく効く薬です。それ自体は、疑いようのない事実。

 でも、ものすごく効く、劇的に効くがゆえに、チューブでけっこうな量を渡され、1週間、2週間と同じ薬を処方され続けると、患者自身が塗ることを、だんだんコントロールできなくなるんです。塗れば、耐え難い痒みがおさまる。でも、対処療法なので、炎症を起こした原因がおさまらなければ、また痒くなって塗る、あとは、やめる、塗る、やめる、塗る、の繰り返し。個人差はあるでしょうが、数ヵ月で薄くて赤黒いステロイド症皮膚の出来上がりです。そしてステロイド症の皮膚は刺激に弱いので、ちょっとした刺激でまた湿疹が出て、塗って……の循環。

 私は、実は医師自身がアトピーという皮膚科にかかったことがあります。
首から上は、赤黒い薄い皮膚、湿疹……。よく見かける大人のアトピー患者の顔。
そのときには2回目の全身アトピーに至る発症で、ステロイドの害に苦しみ、離脱した経験があった私は、先生自身もステロイドを塗っている、ひょっとしたら塗るのをやめられないでいるのではないか、と、すぐ思いました。
 このとき、この先生が処方しようとした薬も、ステロイドでした。カルテに書きながら、先生がつぶやかれた薬名を耳にして、「あ、ステロイドはいやです」とはっきり言った、嫌な患者。(笑)
 結局ここには、この1回しかかかりませんでした。

 次にかかったのは、自分で探したステロイドは使わないという医師。

 ここは、プロトピック、つまりタクロリムス軟膏や、昔ながらの亜鉛華軟膏、漢方薬、ビタミン剤などを処方し、副交感神経・交感神経のバランスを整えるためのレーザー治療を並行して行うところでした。必要とあらば、睡眠導入剤や、軽い精神安定作用のある薬も処方してくれるところです。

 レーザー治療は、効いたと思います。あてている間は、ふーっと眠くなり、痒みが遠のくようで気持ちよかった。
 漢方は、飲んでいるときは効いていると思ったのですが、あとから冷静に治るまでの期間、ステロイドのリバウンドを含んだ1回目の経過や期間と比べて考えると、本当に効いていたのかなと、ちょっと疑問です。
 それよりも、漢方は長く飲まないと効かないけれど、ずっと飲んでいるうちに、その漢方薬があっていなければ、ときに激しい副作用を起こすものもある、ということを先生はわかって処方しているのかしら、と疑問に感じました。かかっている間中、副作用チェックの問診はされませんでしたから。

 タクロリムス軟膏ですが、私は、由来が移植などの免疫抑制剤で、首から上の部位にはなぜか効きにくい、分子量が大きくて、塗るとしみる感じがする、と知っていて、何よりステロイドでさんざんな目にあったこともあり、免疫を人工的に一時的に抑制してよくなって、それで薬をやめられるわけ?、やめたら反動は?と疑問だったこともあり、「使うか」と聞かれたのですが、使いませんでした。

 このタクロリムス軟膏ですが、副作用としてリンパ腫の危険性が指摘されています。特に乳幼児、子どもには使うべきではない、妊婦には禁忌にすべき、という声があるらしいです。

 全身にわたるアトピー(成人型というやつですね)を経験して思うのですが、アトピーは、アレルギー体質の人が、さまざまな原因で体のいろいろなバランスを崩したために、化学物質やアレルゲンに反応しやすくなって起こる全身疾患ではないかと。たまたま皮膚に症状が強く出るだけだったり、皮膚を壊してでも何かを体の外に排出しようとして起きた反応だったり。
 それに対して、対処療法だけで、よくなるはずもなし、と思っています。

 とりあえず経験から言えることは、患者のほうが何の心構えも知識もなしにかかると、実はとっても怖いところなのです、皮膚科は。(^^;)


 ああ、最初に「少し」なんて書いてて、全然「少し」じゃなくなっちゃった……。(^^;)

2004 05 06 [心と体] | 固定リンク